売買取引の現状
『取引の透明性』を考えたことはありますか?
例えば、食品表示法。
2009年にそれまで複数の法律で管理されていた食品の表示方法を一元化しました。
それは偽造や添加物など食に関する問題が増えたため、消費者側が考えるきっかけを得たからでした。
食品の表示方法を統一し、消費者が安心して買い物ができるように考えられています。
不動産取引は、宅地建物取引業法という法律で、取引の際の注意事項や制限を受けています。
しかし、あくまで取引を円滑に問題なく行うための法律であることが前提であるため、取引の内容まで深くは追求されていません。
※実際には記載にはありますが、現場まで浸透していないといえます。
日本の不動産市場の透明度ランキングは総合14位となり、16年の19位、14年の26位から順調にランクを上げているものの、総合1位のイギリス、2位オーストラリア、3位アメリカになお大きく水をあけられているのが現状です。
この表の考え方は賛否両論ありますが、経済活動規模が世界トップクラスの日本におけるこの結果は残念でなりません。
では、世界と日本の不動産の違いは何なのでしょうか。
アメリカの不動産取引の方法の要点
- エージェント制度(片手契約)による公平性
- エスクロー制度による公平性

エスクロー制度
売主と買主の間に入り、州政府により不動産の証書受託業務に携わることを許された公正中立な民間の第三者機関(会社)
エスクロー会社の役割
- 買主からの手付金や売買代金の受領と売買完了時までの保持
- 売買完了時における売主への現金支払い等の預託金保全業務
- 不動産税の日割計算や当局への支払い等の費用清算業務
エスクロー制度のメリット
- 取引の細部における透明性の高さの確保
- 預託金(デポジット)の保全
- クロージング時に、関係者が一堂に会さずとも遠隔地からの決済が可能
各種レポート
- ターマイトレポート=シロアリ検査
- インスペクションレポート=性能検査
- タイトルレポート=登記(日本の登記より詳細に記載)
- ディスクロージャーレポート=投資報告書
日本の取引
- 両手契約の推進
- 検討段階での情報不足

仲介の仕組
日本の売買仲介において、取引には第3者はいません。
情報の囲い込みや営業担当者の思惑など、取引に不慣れな一般消費者には理解できないことも多いです。
そのため、取引の決断をするには、営業担当者に頼らざる負えません。
情報開示
基本的に情報開示は営業マンがもっていく資料が全てです。
そこには、性能検査されているものもありますが、多くの物件はされておりません。
登記情報も含め情報開示の量はアメリカの不動産取引にくらべると少ないです。